子宮頸がんワクチンの健康被害提訴

 子宮頸がんワクチンを接種して全身の痛みなどの健康被害を訴える女性64人が、国や製薬会社2社に損害賠償を求める集団提訴を27日に東京、名古屋、大阪、福岡各地裁に一斉に起こすと発表しました。原告は全国の1522歳の女性64人です。慰謝料として1人当たり1,500万円を請求し、個別の症状に応じて増額を要求しています。2社は英国の製薬会社グラクソ・スミスクラインと米国の大手製薬会社メルクの日本法人MSDです。
 女性たちは、ワクチンを接種した後、失神や歩行障害、視覚障害、記憶障害など多数の症状が出たため、適切な医療が受けられなかったり、学校に通えなくなったりしたとしています。ワクチンは、グラクソ・スミスクライン社の2価ワクチンサーバリックスとMSD社の4価ワクチンガーダシルで、国が2009年と2011年に承認し、販売が始まりました。これまでに接種した人は、推計で約340万人に及んでいます。
 こうした訴訟が起こると、わが国におけるワクチン接種の勧奨再開が遅れてしまいます。世界の国々では、子宮頸がんワクチンは、予防医療の一環として接種が行われており、海外からは接種により子宮頸がんの発症リスクが下がったとの報告もみられるようになってきています。法廷の場で争われることも止むを得ないと思いますが、若い女性がワクチン接種しないことにより、彼女たちの子宮頸がんの発症リスクを減らせないことに対する責任は、誰が取るのでしょうか?

(吉村 やすのり)

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