子育て世代の東京脱出

内閣府の2023年度のミニ白書によれば、住宅価格の上昇を受け、子育て世代が東京都内から首都圏近郊に転出していると指摘しています。通勤時間が長くなれば女性の就業率を下押しする可能性があります。
東京都と埼玉、千葉、神奈川の近隣3県との人口の移動を内閣府が分析しています。子育て世代は、2022年におよそ1.5万人、東京からの転出が3県からの転入を上回る転出超となっています。子どもの世代の0~14歳も8,000人強が転出超でした。子育て世代の東京脱出の傾向は、2019年以降続いています。2021年は2.5万人強の転出超でした。都内の住宅が高くなり、物件価格や賃料の低い首都圏近郊へ向かっています。
子育て世帯は育児などがあり、時間に制約があります。郊外に移って通勤時間が増えることで、女性の就業率を押し下げる可能性があります。希望よりも狭い都心の住宅を取得せざるを得なかった世帯は、2人目、3人目の子どもを諦める可能性もあります。子育て世帯が安く借りられる公的住宅の供給拡大といった供給面の施策を着実に進めることが必要です。

(2024年2月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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