子育て世代への支援

 日本経済新聞の調査によれば、社会保障制度を改革するなら何を最優先にすべきか聞いたところ、子育て支援など少子化対策との回答が29%と最も多くなっています。子育て支援を求める声は若い世代ほど強く、20代で少子化対策を選んだのは35%、30代で36%となり、50代の22%、60歳以上の25%を上回っています。同じ20代でも、女性では少子化対策を最優先すべきだという回答が男性の2倍近くを占めています。共働き世帯が増える中、仕事と育児の両立に悩んでいる女性が多いことに起因しています。出産や育児をしながら働き続けたり、出産後に復職しようとしたりしている女性などにとって、社会保障制度のなかでも少子化対策が大切なことは当然のことのように思います。
 少子化対策に次いで多かったのが、年金や雇用支援策、医療であり、これらの回答は高齢者に多くなっています。少子高齢化でシニアを支える現役世代が先細る中、高齢者と現役世代の負担をどうすべきかという点については世代間抗争の様相を呈しています。高齢者の負担を増やすべきだという回答は20代や30代で4割を超え、今後より少ない人数で高齢者を支えなければならない若年層の懸念や不満などが表れています。現在の社会保障の最優先課題は、少子化対策です。若い世代が高齢者になったときの将来に希望が持てないようでは、出生率の増加は望めそうにはありません。今こそ、少子化対策・子育て支援にわが国の社会保障政策を転換しなければならない時期にきています。
 厚生労働省の推計によれば、2016年の出生数は100万人を切るとされています。1899年の統計開始以降で初めて100万人を割り込むことになります。この減少傾向はさらに進行します。少子化対策は待ったなしです。

(2016年12月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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