2017年度予算案

 2017年度の一般会計の総額は974,547億円となり、社会保障費が5,000億円増の324,735億円に膨らみ、初めて32兆円台に乗りました。しかし、所得が一定以上ある高齢者が負担する医療費の上限を引き上げるなどして、自然増を1,400億円抑制しています。また子育て支援など1億総活躍社会の実現に向けた施策や、働き方改革など経済の底上げに向けて予算を重点的に振り向けています。歳出が拡大し、税収が伸び悩む中にあっても、新規国債の発行額は622億円減少し、343,698億円となっています。
 高齢化の進展に伴う社会保障費の膨張をこのまま放置すれば、将来、医療や介護、年金などに関わる社会保障制度そのものが破たんしてしまいます。このため、年齢ではなく、経済力に応じた負担をとの方針の下、痛みを伴う改革に踏み込んでいます。一方、子育て世帯や低所得者向けの支援は強化されています。1億総活躍社会の実現に向け、女性や若者、高齢者の働き手を増やし、成長につなげたいと考えています。子育て支援では、保育士の給料アップにつながる処遇改善や、保育施設に対する運営費を補助しています。企業内保育所への税制優遇も行い、待機児童問題の解消を図っています。
 医療分野で、豊かな高齢者に現役世代並みの負担を求め、75歳以上の保険料を軽減する特例を段階的に廃止することにしています。年齢ではなく所得に応じた仕組みに転換したことは評価できます。しかし、高齢化の進行により、社会保障費が予算全体を圧迫する構図は今後さらに強まります。医療、介護、年金各分野で持続力を高める制度の改革が強く望まれます。消費税率を引き上げるなど、社会保障と税の一体改革が必要なことは言うまでもありません。

(2016年12月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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