学校のジェンダー不平等

文部科学省の学校基本調査によれば、公立校の校長の女性比率は小学校で約25%なのに対し、中高では1割に満たない状況です。多くの子どもが、中高の6年間を女性リーダー不在の環境で過ごしていることになります。教員全体に占める女性比率も、小学校と特別支援学校が約6割、中学校が4割強、高校が3割超で、学校段階が上がるにつれて、女性比率が下がる傾向があります。教員、副校長・教頭、校長と職位が上るにつれて、女性比率が下がる傾向がみられます。
政府は、初等教育機関の教頭以上に占める女性割合について、2025年までに副校長・教頭を25%、校長を20%という目標を示していますが、中高の割合は目標に遠く及びません。日本の女性校長の比率は、国際的に見ても低く、OECDによれば、参加国・地域の中で中学校は最低、小学校は2番目に低くなっています。
女性校長が少ないことは、リーダーは男性といった性別役割分担意識を子どもが持つ恐れにつながります。多様な人に対応できる意思決定をするには、意思決定のポジションが、多様な人で構成されていることがまず大切となります。
教員のキャリア形成に深く関わる校長が、責任の重い教務主任、体力が必要な生徒指導主事には男性がふさわしいといったジェンダーバイアスに陥らないことが大切になります。フルタイムで働ける人を標準とする考え方をやめ、時短勤務をしながら担任を受け持つなどの多様な働き方を認めたり、広域での異動を見直したりする必要があります。

(2023年3月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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