小児がん治療の経済的負担

国立がん研究センターは、小児がんの診療や療養の実態について、アンケート調査を実施しています。患者の平均年齢は7.8歳で、白血病が39%で最も多く、次いで脳腫瘍が13%でした。治療のための費用を確保するために生活に何らかの影響があったと答えた人は、42%に達しています。貯金を切り崩したが26%、食費、衣料費を削ったが23%、親戚や他人から金銭的援助を受けたが13%でした。
医療費のほかに経済的負担が大きかったのは、交通費が61%、付き添い家族の生活費・宿泊費が58%でした。全ての都道府県に拠点病院がある成人のがん治療と異なり、患者が少ない小児がんの拠点病院は全国15カ所しかありません。治療のために遠方の病院に通院したり、入院したりすることも少なくありません。
4月より、厚生労働省は、小児・AYA世代のがん患者に対する妊孕性温存療法に関する研究促進事業を展開します。がん治療に対する経済的負担が大きい中、家族にとってがんが治癒した際の妊孕性温存のための治療に対する経済的余裕がないことが少なくありません。若いがん患者が希望をもって病気と闘い、将来子どもをもつことの希望を繋ぐ取り組みの全国展開を図っています。

(2021年3月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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