少子化の危機感の共有を

2019年の人口動態統計によれば、合計特殊出生率は1.36と4年連続で低下し、2007年以来の低い値となりました。終戦直後の日本は、出生率が4.0を超えていましたが、1975年以降2.0を割り込み、2005年に過去最低の1.26まで下降しました。近年は1.4台を推移していましたが、8年ぶりに1.4を割り込みました。昨年の出生数は86万5千人で、前年比5万人以上の減少であり、1899年の統計開始以降で最少を更新しました。2017年時点の国立社会保障・人口問題研究所の将来推計よりも2年も早くなっています。
政府は、2025年までの少子化対策の指針となる第4次少子化対策大綱を閣議決定しました。その中で政府の予測を上回るペースで少子化が進んでいるとの危機感から、86万ショックと表現しています。結婚したい子どもがほしいと望む人達の希望が叶った場合に見込まれる希望出生率1.8の実現に向け、若い世代が将来に展望を描ける環境を作るとしています。多子世帯への児童手当、育児休業を取得している人への給付金の拡充などの経済的支援、非正規から正社員への雇用の安定、男性の家事・育児参加や長時間労働の是正などの働き方改革などが提言されています。
しかし、これらの課題は、長年繰り返し指摘されてきました。しかし、十分な対策が立てられないまま、時間ばかりが過ぎています。経済的支援の拡充には最大数兆円規模の財源が必要となりますが、想定外のコロナ禍で財源確保の厳しさが増しています。しかし、少子化は社会や経済の活力を奪い、社会保障の維持も難しくします。もはや一刻の猶予もありません。政府は強い危機感を持って改革に取り組み、希望出生率1.8の実現に向けて阻んでいる壁を一つひとつ取り払って行かなければなりません。少子化対策は、ポストコロナ社会にあっても待ったなしのわが国最大の喫緊の課題であることを忘れてはなりません。

(吉村 やすのり)

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