少子化対策のたたき台に憶う

政府は、岸田内閣の異次元の少子化対策のたたき台をまとめています。基本理念として、①若い世代の所得増、②社会全体の構造・意識変化、③全ての子育て世帯への切れ目ない支援を掲げています。
若い世代への経済支援策の柱となる児童手当の拡充では、多子世帯への支給額を見直す方針も示しています。子育ての重荷となっている教育・出産・住宅費への支援も並べています。高等教育における返済不要の給付型奨学金の対象の拡大、出産費用については、保険適用の導入を含め、支援のあり方について検討を行うとしています。公営住宅などへの子育て世帯の優先入居や、多子世帯への長期固定金利の住宅ローンの金利優遇措置の導入も盛り込んでいます。
共働き・共育てを推進するため、両親ともに育休を取得した場合に一定期間の給付率を現行の手取りで8割相当から10割相当に引き上げることを明記しています。 幼児教育・保育の質の向上を掲げ、親の就労の有無を問わず時間単位で保育所を利用できるようにしています。また、保育士の配置基準を見直し、保育の質の向上を目指します。
少子化対策の実現に向け、最大の課題となるのが財源確保です。たたき台には経済支援などのメニューがずらっと並び、児童手当の拡充なども合わせると、全てを実現しようとすれば年8兆円程度かかります。政府内では、年金や医療、介護など国民が、毎月支払う社会保険料に上乗せし、連帯拠出金として積み立て、少子化対策の財源に充てる案が検討されています。
これら少子化対策は、生まれた子どもに対する支援がほとんどであり、これから子どもを持ちたいと考えている若いカップルに対する支援がみられません。これでは、少子化対策として不十分と言わざるを得ません。

 

(2023年4月1日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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