少額硬貨の流通高の減少

拡大するキャッシュレス決済の影で、減少の一途をたどっているのが少額硬貨です。日銀によると、1円玉の流通高は2002年の410億円をピークに2017年は約378億円と8%減少しています。5円玉も1999年の約631億円から、2017年は約538億円と15%減少しました。政府は硬貨の需要を見込んで製造量を調整しており、消費税が8%に引き上げられた2014年度は、会計で端数が出るとの予想から、1円玉を1億6千万枚製造しました。しかし、電子マネーの利用が進んで需要が伸びず、2016年から流通用の製造を中止しています。
電子マネーなどの普及で、家計の消費支出に占めるキャッシュレス決済の比率は、約2割に上昇しています。政府は2025年に4割を目標に掲げており、海外ではすでに小額硬貨を廃止している国もあります。1円玉の製造コストは1枚約3円ともいわれ、造れば造るほど赤字になります。既にカナダは2013年に1セント硬貨を廃止したほか、キャッシュレス決済比率が9割を超える韓国では、硬貨のないコインレス社会に向けた取り組みが進んでいます。しかし、日本は現金を好んで使う文化が根強く残っています。

(2019年1月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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