山岳医とは

 811日は山の日です。中高年を中心とした登山人気で頻発する事故を背景に、山で起きる怪我や病気の専門知識を持った山岳医のニーズが高まってきています。認定国際山岳医は欧州で始まった制度で、講義や登山実技を通して2010年から国内でも認定を受けられるようになりました。取得者は7月末現在で35人です。低体温症を予防するために糖分の小まめな摂取を心掛けることや、余裕のあるコース設定で遭難を防ぐことなどの注意点などを指導します。富士山や北アルプスなどにある山岳診療所の運営にも関わり、活躍の場を広げています。
 2015年の山岳遭難は、過去最悪の2,508件で、2016年も2,495件と高水準が続いています。2006年は1,417件で、10年間で1.7倍以上に増えています。2016年の死者・行方不明者は319人で、約7割が60歳以上でした。山岳医療は経験論に頼りがちです。きちんとした分析に基づく治療や啓発活動が大切です。体調にあった登山の仕方を教えるのも、山岳医の大切な勤めです。

(2017年8月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。