市区町村の消滅危機

民間有識者でつくる人口戦略会議が公表した地域の持続可能性を分析した報告書では、自治体の消滅危機が続く現状が浮き彫りになっています。若い女性の減少で消滅可能性がある市町村は、東京圏以外だと46%に上っています。東京23区など大都市では、低出生率が国内の人口減少改善の足かせとなっています。消滅可能性自治体は、20〜39歳の若年女性人口が20年から50年までの30年間で半減する市区町村と定義しています。東北は消滅可能性自治体が165と数も割合も最多でした。

出生率が低く他地域からの人口流入に依存している地域は、ブラックホール型自治体と分類されています。東京都区部や大阪市、京都市など25自治体が該当します。100年後も若年女性が5割近く残る自立持続可能性自治体は、千葉県流山市など65自治体しかありません。
自治体の人口減少対策が、人口流出の是正という社会減対策に重点が置かれてきました。若年人口を近隣自治体間で奪い合うかのような状況もみられています。国内の人口減少の改善には、人口を吸い寄せる大都市での出生率向上が急務で、地方と都市でそれぞれ地域の実情に応じた取り組みの強化が必要になります。企業や地域に、子育て支援の必要性の認識をもっと広め、女性の負担を減らせるように男性の育休取得の推進や、共働き世帯の子育てを地域で支える仕組みづくり、子育てと教育への経済負担の軽減などが求められます。

(2024年4月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。