選択的夫婦別姓制度導入のために

結婚する際に夫婦それぞれが名乗りたい姓を選べる選択的夫婦別姓制度の導入に必要な民法改正の議論も国会では進んでいません。しかし、選択的夫婦別姓制度導入や議論推進を求める動きが、自治体の議会で少しずつ活発化してきています。
制度をめぐっては、各地で当事者による裁判が起こされてきています。2015年には、最高裁が初めて憲法判断を示し、現行の夫婦同姓は合憲とされています。一方で、制度自体が否定されたわけではなく、結婚や家族の法制度について、その時々の社会的条件や国民生活の状況などとの関係において決められるべきだとしています。
旧来の家族観は既に現実に合わないのに、それを元に選択的夫婦別姓を否定するのは現実に即した議論と言えません。地方議会からの意見書を通じて、裁判所が国民意識の変化を認識してくれる可能性が出てきます。選択的夫婦別姓制度の確立が、少子化対策の一丁目一番地であることを理解できる人は、わが国にどれくらいいるのでしょうか?

(2024年4月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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