希少がんに対するオンライン治験

国立がん研究センターは、希少がんを対象にしたオンライン治験を始めようとしています。希少がんの治験ができる施設は都市部に偏っており、地方に住む患者は参加が難しかったのですが、自宅近くの病院から国立がん研究センター中央病院が手がける治験に参加できるようになります。
希少がんは、1年間に診断される人が人口10万人あたり6人未満のがんの総称です。個別には200種類近くあるとされています。治験は、新しい薬や治療法を開発するために患者に試みる臨床試験で、参加すると日本では承認されていない薬などで治療を受けられる場合もあります。
オンライン治験は、国立がん研究センター中央病院と施設間契約を結んだパートナー病院が連携して取り組みます。患者は自宅に近いパートナー病院で検査を受け、治験の参加条件を満たしていれば、パートナー病院の主治医と国立がん研究センター中央病院の医師をオンラインで結び、治験に関する説明を受けます。治験用の薬は自宅に郵送され、国立がん研究センター中央病院の医師の指示のもとで内服します。治療期間中は、パートナー病院で継続して検査を受け、そのデータが国立がん研究センター中央病院に共有されます。主治医同席のもと、国立がん研究センター中央病院の医師にオンラインで診療も受け、国立がん研究センター中央病院にいく必要はありません。
パートナー病院となるのは、厚生労働省が指定したがんゲノム医療の中核拠点病院、拠点病院、連携病院であることなどが要件です。これまで治験に参加するのは難しかった地方の患者も参加しやすくなります。参加者が集まれば治験のスピードアップにつながり、新たな薬の開発も早まる効果が期待できます。

(2023年6月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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