幼児の死亡率

 幼児死亡率は1984年は10万人当たり年間で51.9人、1994年は40.2人と高率でしたが、2004年は25.3人、2014年は19.3人と20人を割り込み、2000年代に大幅に改善してきています。交通事故件数の減少や救急医療体制の整備のほか、誤飲や転倒などしにくいように身近な製品の安全性を高める取り組みなども効果があったとみられます。
 厚生労働省研究班の報告書によると、日本は新生児や乳児の死亡率の低さは世界トップクラスですが、1~4歳児の死亡率は21位と低迷しています。重篤幼児の治療が、成人向けの一般救急や通常の小児科病棟で行われ、症例も分散していることが原因とされています。本来なら救命できた防げる死が少なくないと思われます。これらの死亡率を減少させるには、人材育成が急務です。小児救急には、小児科医と救急医の2つの専門知識が求められます。新人医師が2年の初期研修を終えた段階から、指導的な立場の医師に育つには10年以上が必要となります。成人救急と異なり、小児救急は成長段階に応じて薬の量を変えたり、小児科特有の疾患に対応する必要があります。

(2016年8月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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