広がる大学間格差

国の管理を離れ、自主・自律を目指したはずの国立大学法人化でしたが、逆に国の支配が強まり、大学間格差が広がったように思えます。法人化と同時期に導入された評価制度によって、大学が自由度を失い、委縮してしまいました。大学は6年間の中期目標に基づき、中期計画を立て、その計画を遂行できたかが評価の対象となります。評価点を上げるために研究や教育をやり、のびのびとした新しい発想が出にくくなってきています。
競争的資金や産学連携研究費、寄付金などの独自収入が収入全体に占める割合は、東京大学などの旧帝国大学(7校)は、2008年度の27%から5年間で36%に伸びた一方、医学部のない総合大学(10校)は2%弱で伸び悩んでいます。産学連携で大きい金が入るのは、大企業を相手にする大規模な大学だけです。中小企業を相手にすることの多い地方大学にはあまり入りません。今の大学教員は、役所の要望への対応や研究費の調達に忙殺されています。

(2018年8月9日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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