座位時間と生活習慣病

 オフィスや自宅で座っている時間が長いと、糖尿病や心臓病になるリスクが高くなることが分かっています。近年、座り過ぎが健康に悪影響を及ぼすとの疫学研究の結果が、国内外で次々に報告されています。オーストラリアのグループによれば、1日に座っている時間が11時間以上の成人は、4時間未満の成人に比べて総死亡のリスクが1.4倍高いとされています。カナダのグループは、心臓や血管の病気やがん、糖尿病などの発症率は、座り過ぎの習慣との間に関連があるとしています。
 1日に座っている時間は、世界的に見ても日本人はトップクラスです。総労働時間は短くなりつつありますが、1日当たりの労働の密度が高くなり、デスクワークが長くなりがちです。多少運動をしても、座り過ぎによる健康リスクが簡単には下がらないのが問題です。座っている時は筋収縮がほとんど起きないため、糖輸送体や酵素の働きが弱くなり、血液中の糖や中性脂肪の濃度が高まると考えられています。座り過ぎによって血管機能が低下する可能性も指摘されています。座り過ぎを解消するには、立ち仕事ができるデスクを使うなど作業環境を変えるのが一つの方法です。長時間座らなければならない場合は、30分に1回を目安に立ち上がり、連続して座らないようにするといいといわれています。

(2017年1月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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