待機児童問題を考える―Ⅲ

待機児童を解消するには
 保育士不足を打開することが必要となります。施設を整備しても、保育士を確保できなければ、子どもを受け入れられません。保育士不足の背景には、仕事の大変さの割に賃金が低いことが大いに関係しています。月額約22万円で全産業平均に比べて約11万円低い状況です。賃金を引き上げる取り組みを、一層強めることが求められます。保育士の資格を持ちながら保育の現場で働いていない潜在保育士は、約80万人いるとみられます。結婚や出産を機に現場を離れた人も多く、こうした人材をいかに活用するかが大切となります。そのためには、短時間でも働ける仕組みを取り入れるなど、保育士が働きやすい職場環境を整えることも必要になります。住宅地での保育所開設に近隣住民が反対し、計画が延期されたり中止したりする例も増えています。
 保育の定員拡大が進んだ結果、保育施設の運営費も増えています。国や自治体が負担する運営費は、2017年度は15,020億円に上る見込みで、2012年度の7,924億円からほぼ倍増しています。限られた予算で保育施設を増やすのは限界があります。子育て世代が都心部に集中しない施策や、長時間子どもを預けなくても働けるような環境作りが必要となります。

(代々木公園内にできた認定子ども園)
(吉村 やすのり)

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