性別変更のための不妊手術の必要性

 性同一性障害特例法によれば、性別変更のためには5要件が満たされなければなりません。性別変更の要件の一つに、生殖腺や生殖機能がないことが定められています。戸籍上の性別を変えるのに、不妊手術を義務づけた性同一性障害特例法は、違憲だとの訴えを起こしました。身体に著しいダメージを伴う手術を要求するのは、自己決定権を保障した憲法13条に違反しており、無効だと主張していました。
 これに対して特例法の手術要件は、元の性別の生殖能力が残っているのは相当ではないことから定められたとし、憲法13条に違反するほど不合理な規定ではないと判断し、申し立てを却下しました。法務省の見解では、不妊手術が要件とされたのは、元の性別の生殖機能により子が生まれれば、様々な混乱や問題が生じることになりかねないとしています。しかし、手術などなしに自認する性別で生きる自由は、基本的人権として尊重されるべきだと指摘する専門家も少なくありません。国際的にはリプロダクティブ・ライツを尊重し、性別変更の要件から手術要件を外す国が増えてきています。

(2017年2月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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