患者急変予知のための早期警戒スコア

近年、急変の予兆を患者の呼吸数や脈拍などから調べるためのシステムが導入され始めています。患者の救命にはもちろん、対応する医師や看護師らの負担軽減にも役立っています。
患者急変の予兆を見つけるための早期警戒スコアは、患者の呼吸数、脈拍、最高血圧などのデータを点数化します。例えば呼吸数が1分あたり26回と多ければ3点、体温が38.5度と高ければ1点とし、合計が7点以上なら急変リスクが高いと判定します。スコアを確認しやすくなり、容体の心配な患者への早期介入につながります。
一般の病棟では、集中治療室などと比べると患者の容体を確認する頻度は低くなります。しかし、コロナ禍では、肺炎や呼吸器系疾患などの患者を中心に心停止などの容体急変を起こすことがあります。一般病棟で死亡した入院患者の約6%で、予期しない心停止が起きているとされています。また、心停止する患者の60~90%では、6~8時間前に呼吸数など何らかの生命データに異常が見られるとの報告もあります。特に呼吸数は容体が悪化する初期から急増するとされています。
この早期警戒スコアの自動算出システムを利用し、急変の予兆があるとチームが判断すれば、重症患者用の病床に移動させたり、監視するデータ数を増やしたりすることができます。高頻度にデータを取得した方がよい患者の特徴などが分かってくる可能性もあります。

(2021年7月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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