新型コロナのワクチン賠償

政府は、新型コロナウイルスのワクチンを使って健康被害が生じた場合、製薬会社の代わりに賠償する方針としています。ワクチンは、人種によって有効性や安全性が変わる場合があります。米欧で十分な数の臨床試験をして効果が判明したワクチンでも、日本で接種した際に予想外の副作用が発生する可能性もあります。一般的にワクチンの実用化までの期間は5~10年以上とされています。新型コロナのワクチンは、1年前後の実用化を目指しています。製薬会社には異例の短期間での開発で生じるリスクも出てきます。
海外の製薬会社は、ワクチンの副作用による健康被害で損害賠償を求められたら対応できないとしています。国が肩代わりしてほしいと求めています。日本でも、2009年に新型インフルのワクチンを輸入する時に、海外企業に補償する特別措置法を整備しています。ワクチンは、各国間の獲得競争が激化しているため、海外メーカーが日本に供給しやすくするため、ワクチン賠償については国が責任を持つべきですが、ワクチンに導入にあたっては安全性の検証が大切です。

(2020年8月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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