新型コロナウイルス感染症の指定感染症としての位置づけ

新型コロナ感染症は、2月に感染者への入院勧告や就業制限ができる指定感染症に位置付けられています。対象は、国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れのあるもので、緊急時にスムーズな対応が取れるようにしています。診断した医師は届け出る必要があり、医療費は公費で負担します。
感染症法では、感染症を危険度に応じて1~5類に分類し、類ごとに求められる措置が定められています。最も危険度が高い1類にはエボラ出血熱やペスト、2類は結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)などが位置付けられています。指定感染症は、1~3類に準じた措置を取ることになります。指定感染症の指定の期限は1年で、さらに1年延長できます。これまでに指定感染症になったSARS、鳥インフルエンザのH5N1などは、今は2類になり、継続的な措置の対象となっています。
新型コロナは当初、2類相当とされました。1類だけに求められる建物の立ち入り制限や封鎖、交通の制限の措置や、1類にもない外出自粛の要請なども加わりました。実態は1類よりも厳格な運用が可能となっています。しかし指定から半年以上がたち、疑い例も含めた全てのケースの報告や、陽性者の療養先探しが、保健所や医療機関の負担になっているとの声が強まってきています。宿泊施設や自宅で療養する患者もいますが、陽性がわかると原則入院となる運用が、入院ベッドを圧迫しているとも指摘されています。
指定感染症に指定されていることによって、軽症者や無症状者の入院措置も行われ、保健所や医療機関の負担が増大しています。感染者数が高止まりする一方、重症者は少ないことから、入院は重症者に特化していいなどの意見も出ています。政府は経済と感染拡大防止の両立を掲げており、運用を見直すことで国民の不安を緩和し、経済活動を促す効果を期待しています。

(2020年8月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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