新型コロナワクチンの急性期副反応

防衛省の開設した大規模接種センターにおける新型コロナワクチンの急性期副反応としては、東京会場で接種した延べ120万1,688人について分析したところ、2,930人(0.24%)が急性期(約30分以内)にじんましんやふらつきなどの副反応を発症しています。このうち女性が1,998人(68.2%)を占めています。いずれも回復し、重篤なアナフィラキシーショックを起こした人はいませんでした。
急性期に副反応を示した人のうち、2,601人(88.8%)はストレス性の反応とみられ、極度の緊張や不安が引き起こす過呼吸や、血管迷走神経反射と呼ばれる失神・血圧低下などの症状が出ています。こうした副反応は若年層ほど顕著で、20~34歳が3分の1以上を占めています。失神して転倒し、頭を強く打ちつけて救急搬送されたケースもありました。
モデルナアームと呼ばれる副反応については、4万2,017人を調べたところ、5.6%(2,369人)が発症していました。接種後、4~21日に症状が出て、7日後が最多でした。回復までの期間は発症後1~34日で、5日後が最多でした。発症者のうち、女性は1,950人で8割以上を占めています。女性の割合が高い理由は、性別による免疫能、ホルモン、生活習慣の違いが関連していると考えられています。
新型コロナワクチンの急性期副反応は、約9割が接種への不安に伴うストレスが原因とみられ、若い世代の割合が高率でした。こうしたワクチン接種による精神的なストレスが起こす副反応は、対処を講じやすいとされています。しかし、インフルエンザのワクチン接種と比較して高い発生率です。未知のワクチンに対して有害事象を網羅的に捉えたデータとして貴重です。

(2021年11月9日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。