残業時間

 労働基準法(労基法)は、週40時間、18時間を労働時間の上限と定めています。これを法定労働時間といい、この上限を超えて働かせるのは違法となります。しかし、労基法の36条で、労働者の過半数で組織する労働組合が職場にある場合はその組合と、ない場合は投票などで選ばれた代表と、労使協定を結んで労働基準監督署に届け出れば、上限を超えて働かせても違法にならないとしています。いわゆる36協定には、法定労働時間を超える残業を月45時間、年360時間以内にするのが望ましいとする限度基準があります。しかし、この基準に強制力はなく、労基署は基準を超えた36協定の提出を拒否できません。
 36協定には特別条項と呼ばれる抜け穴があります。業務が急激に増えた時、納期が迫っている時といった特別の事情があれば、年に6カ月までは上限を全くなくすことができます。電通では特別条項によって月100時間までの時間外労働が認められていました。このように日本では残業時間の上限が事実上青天井になっています。過労死ラインとされる月80時間を超える時間を上限とする企業も少なくありません。政府は現在、残業時間の上限を厳しくする規制強化を検討しています。

(2016年12月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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