母子感染

 TORCH症候群とは、新生児の臓器や神経、感覚器などに障害が起こる母子感染症の総称です。T=トキソプラズマ原虫、O=梅毒などその他、R=風疹、C=サイトメガロウイルス、H=単純ヘルペスウイルスの略です。感染者数が多いのは、サイトメガロウイルス(CMV)とトキソプラズマです。CMVは年間に約1,000人、トキソプラズマは約200人が感染しているとされています。CMVとトキソプラズマは、共通して新生児に小頭症や水頭症などが起こる他、CMVは難聴、トキソプラズマは目の炎症などを引き起こします。共に有効なワクチンはありません。それぞれの感染経路に合わせた予防が大切です。
  CMVはありふれたウイルスで、妊娠時の調査では約7割に感染経験があります。感染者の唾液や尿などに触れることでうつります。症状はほとんどなく、体内に潜伏し続けて特に悪さをしません。妊娠中に初めて感染した時に、母子感染のリスクが高くなります。トキソプラズマは、生肉や猫の糞などを介して感染します。健康な人は症状が出ず、感染に気づきません。妊婦の約10%が感染の経験があります。妊婦は生肉を食べるのを避け、感染が疑われる外飼いの猫に触れないことが大切です。ガーデニングなどで土を触ったら手を洗い、原虫を取り込まないように心掛けることが大切です。

(2017年6月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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