民間の遺伝子検査

 国の有識者会議は、遺伝子検査サービスに関して、科学的根拠の確保や遺伝カウンセリングを受けられる体制作りが必要だとの提言をまとめています。ネットには遺伝子検査の情報があふれています。ネットなどで申し込み、唾液などを送ると、全遺伝子情報やその一部を解析し、結果が送られてきます。医療機関を介さないため、DTC(ダイレクト・トゥー・コンシューマー=消費者直接販売型)の遺伝子検査と呼ばれています。DTCは医療関連法は適応外であり、検査の質の担保などには法規制がありません。そのため、遺伝子検査を解釈する手法が科学的に十分に確認されていないのに、確実に予測できると誤解を与える場合が少なくありません。
 提言では、厚生労働省が関わったうえで、科学的根拠の確保や遺伝カウンセリングを受けられる体制作りを進めることが必要だとしています。欧米では厳しい規制がかけられている国が多くみられます。独仏など欧州の多くの国では、遺伝子検査には医療従事者が関与し、検査の質の保証が法で定められています。このためDTCは事実上実施できません。米国でも、検査の質について基準を満たしていると判断された施設での実施を義務づけています。

(2016年10月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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