気候変動対策の必要性

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次統合報告書では、将来世代ほど影響が大きいということを示しています。2020年に生まれた子どもが70歳になる2090年、排出がとても多いシナリオでは、産業革命前からの気温上昇は4度を超えてしまいます。排出をとても少なくすれば、1.5度までに抑えられます。温暖化による破滅的な影響を避けるため、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標の達成は、さらに難しくなっています。

報告書では、行動を促すための仕掛けが見えます。世界が目指している1.5度目標のために、2035年に温室効果ガスの排出を2019年比で60%減らす必要があることを示しています。日本を含む多くの国は、2030年の削減目標と2050年の実質ゼロを掲げていますが、それをつなぐ経路は描かれていません。今後の国際交渉では、2035年の目標が焦点の一つになり、60%は一つの基準になります。
目標達成に向けた具体的な政策や手段などを描けていない国も多いため、報告書は、政府が責任を持って関与することや制度的な仕組み、法律、戦略、資金や技術へのアクセスの重要性も指摘しています。温暖化対策を加速する重要な要因として、資金、技術、国際協力を挙げています。目標達成のために、今の何倍も資金を当入しなければならないとしています。

 

(2023年3月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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