熱中症のリスク

 暑さ指数は、仕事中の熱中症予防などに使われます。暑さ指数は、気温のほか湿度や日射の影響を加味して熱中症の起きやすさを表し、単位は度で表されます。厚生労働省は仕事の強度に応じて基準値を定めており、大幅に超えた場合は、原則として作業を中止するよう求めています。筑波大学の研究チームが東京と大阪を対象に予測したところ、21世紀後半の8月の日中は、暑さ指数が現代より大幅に上昇するとの結果を出しています。熱中症のリスクが増え、重い物を運ぶなどの重労働は、夜間に限られる可能性もあるとされています。
 2000年代の8月の日中の平均暑さ指数は、東京が25.5度、大阪は26.6度でした。25度を上回ると、日常生活でも警戒レベルに当たります。2090年代には約2度ずつ上昇し、東京は27.7度、大阪は28.7度に達する予想です。このため、熱中症のリスクが比較的低い時間も減少します。重労働基準値の25度を下回る時間は、2000年代の大阪で13.3時間だったのが、2090年代は1.0時間に減ります。東京では2000年代の15.1時間が2090年代は2.0時間に減り、基準値を下回る時間帯がない日は17.9日にも達します。

(2016年8月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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