献血者の減少

 近年、献血者は減る傾向にあり、特に10代の減少が目立っています。現行ルールでは16歳から献血できますが、20歳からだという誤解があります。ひとつには、厚生労働省の若者向けの献血キャンペーン「はたちの献血」が影響しています。このキャンペーンは40年以上も続いています。冬場は献血者が減る傾向にある上、1月には多くの地域で成人式が開かれ、新成人らに社会貢献としての献血を意識付けしやすいためです。
 はたちの献血というキャンペーンは、献血が20歳からだという誤解を生んでいます。実際には献血は16歳から可能で、男性は17歳から成人と同じ400mlの献血ができます。しかし、10代の献血者は増えるどころか、減少に歯止めがかかっていません。2015年の献血者の総数は490万人と20年前より22%減ったのに対し、16~19歳は82万人から26万人と68%も減っています。日本では安全性の観点から輸血を国内の献血でまかなっています。高齢化に伴う輸血需要の増加や人口減により、近い将来輸血用血液が不足すると考えられています。血液の安定的な確保には、若い頃から継続して献血してもらうことが必要になります。

(2016年12月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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