生命の起源に迫る研究

最古の生命は、アミノ酸や糖などの有機物が集まり、さらに膜に包まれることで生まれたと考えられています。生命の代表的な条件として、①膜で外界と仕切られている、②エネルギーを取り込んで代謝する、③自分の複製を作るなどが挙げられます。しかし、化学反応で動いたり、大きくなったりする人工細胞の実現で、非生命でもこれらを満たす可能性が出てきています。

生命は、進化することで新しい能力を獲得して多様な生態系を築き、激変する地球環境の中を生き抜いてきました。DNAも、その能力を次世代に引き継ぐ重要な役割を果たしています。誕生までの大きなギャップを埋めようとする研究も進んでいます。その一つが、生物を構成する基本単位である細胞を人工的に作り出す研究です。細胞は、遺伝情報を持つDNAが入った核、代謝する小器官などからなる細胞質でできており、細胞膜がこれらをくるんで、外界との境界の役割を果たします。リン脂質を合成して作った膜の中に、DNAやたんぱく質などの生体分子を入れた人工細胞が作られています。
増殖する自然界の生物に似せた人工物や人工細胞を作って、生命がどう進化してきたのか、生命の起源にせまる研究が続けられています。

(2021年11月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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