生殖医療に対する保険適用

厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会が、保険医療の公的価格である診療報酬の改定内容をまとめました。高額な費用負担が問題となっていた不妊治療の保険適用が、4月から始まります。晩婚化などを背景に治療を希望する人は増えてきていますが、これまでは公的医療保険の適用対象外でした。保険適用に伴い、患者負担は原則3割に変わります。
女性の年齢は体外受精や顕微授精の場合、治療開始時点で43歳未満を対象にしています。1子あたりの保険適用回数は、女性の年齢が40歳未満で6回、40歳以上43歳未満は3回となります。男性側に年齢制限はありません。法律上で婚姻関係にある男女だけでなく、事実婚でも認めています。
2020年の年間出生数は84万人と、2016年に100万人を割ってから少子化が一段と進んでいます。不妊治療に取り組む男女は増え、日本産科婦人科学会によると、2019年に体外受精で生まれた子どもは6万人を超えています。治療への保険適用は、少子化に歯止めをかけることが期待されています。しかしながら、現在のわが国の少子化は、不妊治療の保険適用で歯止めがかけられるような状況にはありません。若い世代が子どもを持ちたい、育てたいと思えるような社会の形成を目指すための抜本的な政策転換が必要となります。

(2022年2月10日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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