生活習慣病の予防

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、偏った食生活、運動不足、睡眠不足、喫煙、飲酒などが原因です。人生100年時代の後半を無事に過ごすには、生活習慣病発症の危機を乗り越えなければなりません。
欧米人に比べ日本人に多く見られる高血圧は、塩分の多い食事が原因になります。塩分を吸収した血管は、濃度を一定にするため大量の水も取り込み、血管内部の圧力が急激に上がります。これが慢性的に起こると高血圧の状態になり、血管に負担がかかります。
日本人は、人種的に飢餓には強いのですが、飽食には弱いと言われています。昔から一汁三菜の食生活が続けられてきて、野菜と魚など低カロリーの食事に体が慣れているため、あまり食べなくても持ちこたえられます。飽食の時代になって高カロリー食が続くと、糖分の過剰摂取になり、血糖値が上がりっぱなしの状態になります。欧米に比べて極度の肥満の人は少ないのに、糖尿病が多いのはそのせいです。
脂質異常症も、もともと飢餓状態でも体に必要なコレステロールを高く保てる体質だったため、肉食や脂肪の多い食事で動物性脂肪の過剰摂取になると、コレステロールはなかなか下がりません。脂質は血管の内側に沈着し、プラークという脂肪の塊をつくります。これが動脈硬化の原因です。
高血圧・脂質異常症は、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを起こします。糖尿病の場合は微細な血管が損なわれて、脳出血や腎不全、糖尿病性網膜症、脳血栓、足の壊死などにも影響します。そうならないためには、食生活と運動習慣を見直すことが大切です。血圧が高めの人は、塩分を控えた食事、血液中のコレステロール値が高い人は、脂質の多い肉や内臓、卵の黄身、魚卵などを控えます。血糖値が高い場合は、カロリーコントロールが必要です。また、運動をすると筋肉に豊富な血流がもたらされ、血管が太くなっていきます。筋肉が増えると糖を取り込むので、血糖も下がります。

(2020年11月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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