産科医の集約化

産婦人科医不足に悩む岐阜県では、県総合医療センターが、国立病院機構が運営する長良医療センターの産科医8人のうち5人の移籍を受け入れることになりました。周産期医療の医師不足は全国的に深刻さを増していますが、両病院は県と医師の人事権を持つ岐阜大学医学部を交え、病院間の役割分担や連携のあり方を2年前より議論してきました。産婦人科医師不足の中で、病院間で話し合い、周産期医療の提供体制の充実化を図るために、医師を集約させることは今後必要となってきます。両病院は1㎞前後しか離れておらず、集約化することで医師に余裕ができるようになれば、医師不足が深刻な県内の他地域にも派遣できるようになります。
地方における産婦人科、特に周産期医療は危機的状況にあります。地方における医師不足に特効薬はなく、地域に応じた連携を今後も自治体レベルで考えていく必要があります。病院間で産婦人科医師を集約化させることは、経営母体が異なれば大きな困難が伴います。この場合は、自治体と大学病院などの基幹病院が中心となって、地域全体の医療提供体制を考えていく必要があります。今回の異なる母体の病院間での医師の集約化が、地方の周産期医療を守る一つのモデルとなることが期待されます。

(2018年6月29日 中日新聞)
(吉村 やすのり)

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