産科医療補償制度

 産科医療補償制度は、分娩機関で生まれた児が分娩に関連して重度脳性麻痺となった場合、児とご家族の経済的負担を速やかに補償する制度です。さらに脳性麻痺発症の原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ることを目的としています。産科医療補償制度は、対象が産科に限られているとはいえ、公的な第三者機関が事故の分析等を行う仕組みが設けられた点、産科医療にリスクが伴うことを前提にこのリスクを社会的に負担するという観点から、無過失補償制度が導入された点で重要な意義をもっています。
 医療関係訴訟事件の診療科目別既済件数が、最高裁判所医事関係訴訟委員会より毎年公表されています。産婦人科関連の訴訟件数は、平成18年の県立大野病院問題以降、急激に減少しました。平成21年に本制度が開始されてさらに減少してきています。産科医療補償制度は、施行後相当数の事件を処理しており、医療関係訴訟の事件数にも一定の影響を及ぼしているものと考えられます。この無過失補償制度について、産科以外の分野への展開の可能性も注目されています。

2016年10月1日発行 産科医療補償制度ニュース
(吉村 やすのり)

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