男性育休取得率の開示

厚生労働省の2021年の調査によれば、夫が平日に家事や育児を4時間以上すると、妻が出産後も同じ仕事を続ける割合が8割に達しています。休日に6時間以上取り組む場合は、89%で第2子以降が生まれ、その時間がないと36%でした。日本の男性の家事・育児時間は、欧米の3割に満たしていません。OECDによれば、家事などを表す無償労働の時間は、日本人男性で1日あたり41分で、米国の166分、ノルウェーの168分に比べて著しく短くなっています。
2022年度の厚生労働省の調査によれば、育休の取得率は女性が80.2%であるのに対し、男性は17.13%と差は大きく、男性育休の約半数は2週間未満の取得にとどまっており、期間も短くなっています。取るだけ育休とも言われています。短時間勤務も女性は8割ほどが利用していますが、男性は2割程度です。
政府は、男性の育児休業の取得を促すための育児・介護休業法改正案などを閣議決定しました。男性の育休取得率はまだ十分ではなく、取得日数も短いため、育児支援に関する情報開示の義務化で、企業に環境整備を迫り、女性に偏る育児の負担軽減と少子化の克服につなげようとしています。
まず男性の育休取得率の公表義務の対象を、1,000人超の企業から300人超に広げます。取得率の目標値の公表も、100人超の企業は義務となります。数字を開示させることで、労働者が企業を選ぶ際の目安になります。企業同士で子育て環境の優劣を競い合う効果も見込めます。日本の両立支援制度そのものは、国際的に評価が高いのですが、出生数減少の歯止めにつながらないのは、男性が利用しづらい雰囲気があるためです。

 

(2024年3月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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