病的近視

 厚生労働省の研究班は、新たに失明した18歳以上の患者を対象に、失明した原因を調査しています。最も多いのは眼圧の上昇などによって視神経が傷つく緑内障であり、次に糖尿病のために網膜の血管がつまる糖尿病網膜症です。3番目が遺伝子の変異によって起きる難病の網膜色素変性症です。病的近視はこれに次ぐ4番目で、失明原因の6.5%を占めています。病的近視になる原因ははっきりわかっていませんが、遺伝的な要因も大きいと考えられています。多くの場合、小児期から発症し、長い時間をかけて徐々に進行していきます。病的近視の患者の1割が、最終的に失明に至るとされています。
 強度近視のみならず、ゆがみが次第に大きくなり、眼球の奥が変形すると網膜や視神経が傷つきます。網膜剥離のほか、視神経が傷つくと、視野の一部が見えなくなる緑内障になります。視野の欠損は症状が重くなるまで気づかないこともあります。ゆがんだ眼球に亀裂が生じ、新しい血管が目の中に入ってくると、黄斑変性という病気にもなります。血液が漏れ出すと光が遮られ、視野の中に黒い影が生じます。

 

(2017年1月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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