知事の出身属性

リーマン・ショックなどで地方の財政力は弱まり、安倍晋三政権や菅義偉政権は地方創生、新型コロナウイルス対策の臨時交付金などで地方に支出しました。96%の自治体は、財源の一部を国からの地方交付税に頼っています。
人口減で自治体が人手不足になる一方で、デジタル化や脱炭素といった新たな取り組みは要ります。法律で自治体に行政計画の策定を求める条項は、2022年末に524と10年前から4割増えています。国による計画漬けで、自主性を出しにくくなっています。
地方の甘え体質の一端は、都道府県知事の属性に見てとれます。47知事のうち、官僚出身者と国会議員経験者が33人と7割を占めています。いわば中央官庁と国会議員からの天下りです。経歴と関係なく主体的に動く知事もいますが、割合は1990年代からあまり変わっていません。知事選の候補者選びは各政党の地方組織が主導しますが、予算や政策での交渉パイプを期待して総務省や財務省などの出身者が多くなります。政党本部も、地方との連携を意識して、中央省庁や国会の経験がある人材を選ぶ傾向があります。

(2024年3月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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