研究開発費の減少

 OECDの調査によれば、2015年の政府予算に占める研究開発費の割合は、加盟国の平均で1.7%と、2000年に比べ0.1ポイント低下しました。米国、英国などで低下が目立っています。公的機関や大学が担う基礎研究はすぐに成果が出ないため、歳出削減の標的になりやすくなっていきます。技術革新のシーズとなる基礎研究の軽視は、将来的な国の潜在成長力を制約する懸念もあります。
 金融危機を受けた2009年以降、各国は研究開発費を減らしています。経済を立て直すため公共投資などへの財政は膨らんでいますが、研究開発費は真っ先削られています。大学や公的な研究機関に資金を出すよりも、民間企業向けに研究開発費の税制優遇を行う政府が増えたことも背景にあります。研究開発は基礎研究から実用化を重視する傾向があります。基礎研究の軽視は国際的傾向です。

(2016年12月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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