硬い体

 体の硬さは筋肉によって大きく左右されます。筋肉を構成する筋繊維は、太いミオシン繊維と細いアクチン繊維がはしご状に並んでいます。これらが膜で仕切られ、筋肉の最少単位である筋節を構成します。筋節一つ一つが伸び縮みすることで、筋肉が働きます。ストレッチやヨガなど筋肉をゆっくりと伸ばす運動を繰り返すと、次第に筋節が増え、骨と筋肉をつなぐ腱に筋繊維が入り込んでいきます。しかし、運動不足が続くと、筋節の数が徐々に減り、代わりに腱などの結合組織が増えて、体が硬くなってしまいます。
 年を経るに従い、体が硬くなります。しかし、体の硬さは加齢そのものより、長年の運動不足が大きく影響していると考えられます。若い人でも、受験勉強を経た大学生などは、高齢者以上に体が硬い人も少なくありません。筋肉を包む筋膜も体の柔軟性に影響します。筋膜は網の目状になって多重に筋繊維を覆い、筋肉を守っています。網の目が密だと筋肉の動きを妨げますが、日頃から運動やマッサージをすると、網の目がほぐれ、筋肉が動きやすくなります。

(2016年12月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

 

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