B型肝炎ワクチンの定期接種

 肝炎はA~Eまでありますが、そのうちB型肝炎ワクチンが101日から国が勧める定期接種となりました。定期接種となったB型肝炎は、感染している人の血液や、汗や唾液、涙など体液に含まれるウイルスが傷や粘膜から入ることでうつります。成人が感染した場合、感染者の約3割が急性肝炎になり、全身のだるさや食欲低下、黄疸などの症状が出ます。多くは時間の経過とともに治りますが、まれに命にかかわる劇症肝炎を引き起こすこともあります。
 乳幼児は、ウイルスを持つ母親から生まれる際などに感染します。5歳以下の場合は、無症状のままウイルスを体内に持ち続ける無症候性キャリアーになりやすく、約1割は慢性肝炎が進行し、肝硬変や肝臓がんになることがあります。国内のキャリアーは約150万人と推計されています。
 日本では、妊婦に血液検査を行って、ウイルスを持つ場合は、子に感染するのを防ぐため1986年から出生後すぐにワクチンを接種する母子感染防止事業が実施されてきました。B型肝炎ウイルスは、C型肝炎ウイルスやHIVと比べて感染力が高く、医療従事者は必ずワクチン接種しています。日常の生活の中で感染している場合が少なくなく、知らずに感染したり感染させたりするリスクが誰にでもあります。そのため、キャリアーになりやすい5歳以下の子どもを含めてワクチン抗体を獲得しやすい0歳児が対象となっています。

(2016年12月29日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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