立ち会い出産の意義

 パートナーや家族が出産に立ち会うことを、立ち会い出産といいます。貴重な経験ですが、義務ではないので、2人で話し合って決めることが大切です。通常は陣痛室から分娩室へ移動するときにご夫婦は離ればなれになってしましますが、立ち会い出産では分娩室までずっと一緒にいることができるので、安心感が強くなります。パートナーにとっては、妻が母となり、家族が増える瞬間に立ち会えることの感動のみならず分娩の神秘を感じることができる、とても貴重な経験となります。立ち会い出産を選択された場合は、事前に出産についての知識を身につけておくことが必要になります。立ち会い出産の真の意味は、立ち会い一緒に頑張るためであって、立ち会って見物することではありません。
 夫が出産に立ち会う事例が増えたのは、20年前くらいからです。立ち会い出産を体験した父親は、子どもへの関心や世話をする割合が高い、妻とのコミュニケーションも多いという報告もあり、夫婦や親子の絆を強めるといわれています。しかし、立ち会えたことでネガティブな感情を持つこともあります。立ち会ったから終わりではありません。立ち会うことにより、感謝やいたわりの言葉をお互いかけあったり、家事や育児を分担することができるようになるかもしれません。子育てをしていく親であると自覚する親意識をもつためにも、立ち会い出産はその第一歩かもしれません。
 立ち会い出産は医療者側にとってもメリットがあります。分娩には、突然の大出血などの緊急事態が少なからず起こります。緊急時には多くの医師や助産師が分娩室に詰めかけて処置することもあります。その際には一時退出をお願いすることもありますが、そうした医療行為の現場を見ておいて頂くことも大切です。予期せぬ事態が起こった場合に、患者・医療者間の相互理解を深める意味でも立ち会い出産をお薦めします。

(吉村 やすのり)

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