糖尿病の自動治療

糖尿病の治療がデジタル技術で大きく様変わりし始めています。毎日のインスリン注射が必要な1型糖尿病や重い2型糖尿病の治療において、パッチ式の血糖センサーやインスリンポンプなどのウエアラブル機器を使って、人が介在せずに血糖を管理できるようになってきています。
1型糖尿病は、体に糖を取り込むインスリンを作る膵臓の細胞が破壊されることで発症します。小児期の発症が多く、患者数は国内に10万~14万人とされています。世界に5億人以上いる糖尿病患者の5~10%を占めると推定されています。生活習慣などで発症し、食事療法や様々な飲み薬がある2型糖尿病にはない治療の難しさがあります。患者は1日3~4回程度、指先から採血して血糖値を測ったり、インスリンを腕などに注射したりしなければなりません。
パッチ式の血糖センサーは500円玉ほどの大きさです。上腕や腹部に貼り付けるとパッチについた細い短い針は皮膚に刺さり、体液中のグルコース濃度を数分おきに測ります。スマートフォンアプリと連動し、血糖値に換算されたデータが自動で保存されます。痛みはなく、入浴時や就寝時も外す必要はありません。
一方、インスリンポンプの応用により、頻回の注射が不要になりました。医師の指導でインスリンの注入量を設定すると、インスリンがごく少量ずつ持続的に投与されます。さらに、本物の膵臓の機能に近づけた機器も登場しています。血糖センサーとインスリンポンプを連動させるSAPの進化版として、その時々の血糖値に応じてAIがインスリン投与量を自動調整するため、人工膵臓とも呼ばれています。

 

(2022年1月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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