紅麴サプリによるファンコニー症候群

日本腎臓学会の発表によれば、小林製薬の紅麴サプリメントをめぐる健康被害の問題に関して、大半の患者が、尿細管の機能が低下するファンコニー症候群の可能性があるとしています。
ファンコニー症候群は、腎臓の中にある尿細管という部分がダメージを受けることで起こります。尿細管は体に必要なブドウ糖やアミノ酸、ミネラルなどを再吸収して血液中に戻す働きがあります。尿細管に障害が出て再吸収ができなくなると、カリウムやリンといった電解質や尿酸が体から失われ、低カルシウム血症、低リン血症、低尿酸血症が起こります。主な症状には、倦怠感、体のむくみ、脱水、食欲不振、腹痛などがあります。後天性のものでは、薬剤性が多くなっています。
製造された原料のサンプルから検出された青カビから生成されるプベルル酸については、原因とは特定できていません。予後は原疾患にもよりますが、薬剤性の場合は薬剤中止により多くは軽快します。そのため早期発見が大切となります。学会の調査によれば、患者の4分の1ほどはステロイドなどの薬による治療が必要になりましたが、残りの約4分の3はサプリの服用をやめただけで症状が改善しています。

(2024年4月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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