医師の都市集中の解消

財政制度等審議会では、診療所や医師の開業の規制や地域別に差を付ける診療報酬を提言しています。人口10万人当たりの診療所の数は東京23区が113で、全国平均は78にとどまり、1.4倍の開きがあります。都道府県内でも偏りがあります。厚生労働省の医師偏在指標によれば、医師が集まる港区などの区中央部と青梅市など西多摩では、6倍弱の差があります。
医学部の定員を増やしたことなどで医師は増えました。2010年に29.5万人でしたが、2022年には34.3万人になっています。診療所も2022年10月時点で10万施設を超え、人口が減り始める中でも、2000年から1万カ所ほど増えています。それでも収入が多く見込まれる都市に、多くの医師が診療所を開くため、地方は未だに不足気味です。医師が自由に開業できる原則もあり、偏在を強制的に解消する手段は今の時点ではありません。
財務省が必要な施策として、診療所の開業規制と地域別に診療報酬を決める仕組みを提案しています。厚生労働省も、地域医療の将来の姿や偏りの見直しを議論する検討会を立ち上げています。
都市と地方で診療報酬に差をつける手法も考えています。医療サービスの価格である同制度は原則として全国一律で1点10円が基本ですが、地域別に11円や9円などに単価を変えられます。診療所が足りない地域では単価を上げて、過剰な地域では下げることで医療資源のシフトが促せるとしています。

(2024年4月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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