置かれた場所で咲きなさい

 著者『置かれた場所で咲きなさい』で知られるノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんが、昨年1230日に膵臓がんのため学内の修道院で逝去されました。 

 退任の挨拶“人生須く他動的”の一節を紹介させていただきます。
「自らの来し方を回顧してみるに、人生須く他動的であった。人生にはいくつかの転帰点がある。これまで、自らが考定したことはあっただろうか。自分の思いとは背馳する道を選択してきたと言っても過言ではない。敷衍して言えば多くの場合、流れに逆らわず与えられた運命に対し従順に歩を進め、『置かれた場所で咲きなさい』の教えを守ってきた。素晴らしき恩師、先輩、同僚の方々の達見が、私の人生における折々の適切な道標を決定して下さったように思う。偶然の逢着とはいえ、それがなければ傑出した才能を持ち合わせていない人物がいみじくも医療に携わり、アカデミアにおける研究や教育を維持することはできなかったように思う。自身を内観するに、自らの無能に日夜煩悶する人生であったが、外部から期待される能力との隔たりを埋めようとする人生でもあった。教授職を退くにあたり憶うことは、教授在任中は否応なしに教授という地位に纏わる威光に左右され、自己の能力と異なった評価を受けていたことがあったと思う。退職とは、暫し翼を戢め、虚心坦懐に自己を見つめ直す絶好の機会であるかもしれない。」

(吉村 やすのり)

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