耐性菌に対する新薬

 抗生物質が効きにくかったり効かなかったりする薬剤耐性菌への対策は、新薬を開発することにあります。薬剤耐性菌とは、本来効き目があるはずの抗生物質に対して耐性を獲得し、抗生物質の効き目が弱まったり、まったく効かなかったりする細菌のことをいいます。細菌が複数の抗生物質に耐性を持つと多剤耐性菌と呼びます。抵抗力の落ちた入院患者や高齢者に感染すると重症化する危険性があります。
 抗がん剤や難病治療薬を開発する仕組みを適用し、薬剤耐性菌に対する新薬の安全性や有効性の審査や治験の相談を他の薬に優先することにしています。現在は12カ月程度かかる審査期間を9カ月程度に短縮することにしています。企業に開発を要請した後は、医薬品の審査機関である医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、治験の計画などについて他の薬に優先的に相談対応します。国が開発を要請した新薬については、薬価を一定期間維持する新薬創出加算制度が適用される見通しです。

(2016年9月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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