肺疾患に対する運動の有効性

 慢性閉塞性肺疾患(CODP)は、主に喫煙が原因で肺機能が低下し呼吸が困難になる病気です。CODPはたばこの煙によって、酸素を取り込むなどする肺胞の破壊や、気道の炎症が生じ、息切れや咳が起こります。世界的には、がんや心疾患などに次ぐ死因の4位で、国内の推定患者数は500万人以上とされています。
 喫煙によっておこるCODPが、運動をすると分泌されるホルモンの働きで予防できることが分かりました。大阪市立大学の研究チームは、運動によって骨格筋から分泌されるホルモンアイリシンに着目しています。CODP患者40人の血中アイリシン濃度や肺の状態を調べ、濃度が高いほど肺胞の破壊が少ないことを発表しています。さらに人の肺胞上皮細胞を使った体外の実験で、アイリシンを加えると、酸化を防ぐタンパク質が増加し、たばこの煙に含まれる酸化力の強い物質による細胞死が抑えられていました。

(2017年3月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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