腰痛の原因

 背骨の中には脊髄や馬尾という神経が通っており、全身に枝分かれしています。これらの神経が何らかの原因で圧迫されると、腰や脚に痛みやしびれが出ることがあります。治療は腰の動きを制限するコルセットをつけたり、痛み止めの薬を服用したりする保存療法が基本となります。痛みが強く、日常生活に支障が出るケースなどでは、神経の圧迫を取り除く手術が適応となります。腰痛の原因疾患としては椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症です。椎間板ヘルニアは、腰の骨と骨の間でクッション役として働いている椎間板が飛び出し、神経を圧迫して腰が痛む病気です。脊柱管狭窄症は、加齢によって椎骨をつなぐ靱帯が厚くなったり、椎骨がずれたりして、神経が通る脊柱管が狭くなって起こります。
 手術が一般的な治療法ですが、最近では低侵襲手術が行われるようになってきています。低侵襲手術は、内視鏡や顕微鏡を使うことで、皮膚を切り開く傷口が通常よりも小さい23㎝で済む手術です。術後の痛みが軽かったり、術後の回復が早く、入院期間が短くなったりするなどの利点があります。しかし、必ずしも手術が最良の治療とは限りません。椎間板ヘルニアは、手術しなくても1年後には9割以上が回復するとの報告もあります。また、脊柱管狭窄症の手術では、痛みは改善してもしびれが残る場合もあります。

(2017年6月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。