膵がんの早期発見

 膵臓は胃の裏側にあり、画像検査でがんを見つけにくい臓器です。自覚症状も乏しく、症状が進んでから見つかるケースが多く、診断後の生存率は他のがんに比べて極めて低くなっています。国立がん研究センターによれば、2015年にがんと診断された時の進行度を示すステージで、膵がんは最も進行した4期の患者が43.2%を占めています。胃や大腸など12種類のがんで最も進行したステージで発見されます。0期の患者は1.1%に過ぎません。5年生存率は、がん全体では65.2%ですが、膵がんでは9.9%です。
 膵がんの早期発見のための取り組みも開始されています。尾道プロジェクトでは、診療所などのかかりつけ医が、糖尿病や慢性膵炎など膵がんのリスク要因に2つ以上当てはまる人が受診した際に、超音波検査を勧めます。検査で膵管が部分的に太くなったり膵液がたまる袋ができていたりすれば、総合病院での精密検査を勧めます。早期の膵がんを発見するための腫瘍マーカーも開発されています。これまではCA199を測定していましたが、膵がんでは、アポAアイソフォームというたんぱく質が下がることも分かっています。膵臓を専門とする医師は少ないのですが、最近では超音波を使った内視鏡検査が早期発見に有効であるとされています。

(2017年8月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。