臓器移植をめぐる動き

臓器移植法に違反したとして、NPO法人の理事が逮捕されました。無許可で移植を仲介した疑いがあるとされています。臓器移植法は1997年に施行され、脳死になった提供者(ドナー)から臓器を移植できるようになりました。2010年に改正法が施行され、ドナー本人の意思が不明の場合でも、家族の承諾があれば提供が可能になりました。
脳死以外の移植としては、親族など健康なドナーからの生体移植と、亡くなった人からの死体移植の二つがあります。死体移植は脳死と心停止後に分けられます。人の体に二つある腎臓や、再生能力のある肝臓などは生体移植ができます。脳死の場合は心臓など多くの臓器が提供できますが、心停止後の場合はおもに腎臓に限られてしまいます。
臓器移植法では、金銭などと引き換えに臓器を提供したり、提供を受けたりする臓器売買を禁じています。死体移植では、ドナーと移植を受ける患者をあっせんする業者に、国の許可が必要と定めています。眼球を除く臓器については、日本臓器移植ネットワーク(JOT)のみが許可されています。
死体移植では、年100人ほどのドナーから臓器提供があります。移植件数でいうと、400~500件ほどです。生体移植は、肝臓が年に300件ほど、腎臓で1,600件ほど行われています。しかし、移植を希望している人のほうが圧倒的に多い状況です。日本よりも提供数が多い諸外国でも、基本的に同じ状況です。

 

(2023年2月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。