若年女性アスリートの健康障害―Ⅹ

指導者の意識

 月経痛に対して治療が必要かとの問いに対して、症状の程度によると回答した指導者が64.5%と最も多く、指導者は月経痛に対してはほぼ治療が必要であると考えていました。月経が止まっている選手がいたら婦人科受診を勧めるかとの問いに対して、勧めると回答した指導者が55.8%と最も多く、状況によるが25.8%でした。無月経に対しても、ほぼ治療が必要と考えられているようであり、男女指導者間に差は認められませんでした。
 女性指導者のほうが選手の月経状況をよく把握しているのは、選手から月経に関する相談を受けやすいことが要因と考えられます。月経痛や無月経に対しては、ほとんどの指導者が治療の必要性を認めていました。月経痛に関しては、症状の程度や選手次第が7割と限定的でした。一方、無月経に関しては5割以上の指導者が積極的に婦人科受診を勧めるとしており、より高い病識を有していると考えられます。月経調節に関しては、積極的に行うとしてはいませんが、7割の指導者が容認しています。
 選手に対して、徹底してOC・LEP服用の利益を理解してもらい、誤認を解くことおよび選手が積極的に月経に関する相談を指導者にすることが必要となります。月経困難症治療としてのOC・LEPの選択肢は、鎮痛剤でのコントロールも難しい重度の症状を有する選手を中心に情報提供するのがよいと思われます。それ以外の選手や指導者などには、月経調整のメリットを前面にアピールするのがよいと思われます。

(吉村 やすのり)

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